社内に自分のファンをつくろう

本コラムは、2012年〜2015年まで月刊「FInancial Adviser」(近代セールス社)にて、藤島幸恵が「佐藤かなめ」のペンネームで掲載していたものを11話のみ期間限定特別掲載中!下記コラムを一部収載し、バージョンアップさせた書籍を製作中です。 こうご期待!

はじめに

みなさん、想像してみて下さい。
もしも、社内(仕事仲間)があなたのファンだらけになったら、あなたの仕事はどれぐらいやりやすくなると思いますか?
ワクワクしてきませんか?

ある二人の営業マンの話をします。

Aさんの場合

一人目は、Aさん。
彼は、警備会社の中堅営業マンで、誠実で腰が低く、お客様に信頼されています。

ある時、彼から「佐藤さんの会社の事務ってどうですか?」と聞かれました。彼の話を聞いてみると、彼の会社の事務スタッフへ愚痴のオンパレードでした。「営業との連携ができていないから大変だ」と言うのです。挙句の果てには、「自分は外でがんばっているのだから、裏方がちゃんとやってくれないと、余計な事が増えちゃって仕事にならないですよ!」と、吐き捨てました。

Aさんの《お客様に対する態度》は、真摯で誠実なのですが、社内ではちょっと違うようです。

Bさんの場合

もう一人は、Bさん。
彼からは、仲間の愚痴を聞いたことは、ほとんどありません。いつも事務の女性を気遣い、営業の仲間を励ましています。「ありがとう」「助かるよ」「頼りにしているよ」と声をかけ、時々、差し入れもしています。Bさんは、決して完璧な人ではありません。イライラしているときもありますし、勘違いして怒ったりもします。

二人の違い

この二人の違いは明確ですね。Aさんは、「事務の仕事なのだからやって当然」と思っているのではないでしょうか。そこには感謝の気持ちがみえません。Bさんは、事務方に「ありがたい」と思っています。「ありがたい」を漢字で書くと、「有難い」と書きます。つまり、「めったにない」「当たり前ではない」という意味です。

そして、Bさんは、社内の仲間をお客様と同じように大切にしているのです。
だから、外(お客様)にもファンが多く、中(社内)にも彼のファンがたくさんいます。そうなると、人間関係が良いので楽しく気分よく働けますし、何より、「彼が困っているときには助けてあげたい」と思ってくれる人が大勢いるので、多少の《無理》が利き、トラブル解決にも積極的にかかわってくれるのです。
彼はよくこう言います。

「一人で仕事しているわけじゃないからね」
 今いる場所を輝かせるのは、自分次第なのです。

社内のファンを増やす方法

では、どうしたら社内にファンが増えるのでしょう?
ここでは、実際に筆者がしていることを2つご紹介します。

①先にファンになっちゃう

相手の《良いところ探し》をするのです。
積極的に、良いところにフォーカスしたら、その良いところを感謝とともに正直に伝えます。


「○○さんは、いつも細かいところ見逃さないよね。水際で対処できるから、不備が戻ってこないよね。○○さんのおかげで、どんどん仕事が進むから助かっています。いつもありがとう」

相手の良いところ探して、口に出して伝えているうちに、だんだん相手のことが好きになって、いつのまにかファンになってしまうかもしれません。

自分が好きなれば、相手だって好きになってくれるかもしれません。少なくとも、足を引っ張られることはなくなるはず。

②言葉や文字で感謝を伝える

普段から、何かしてもらったら「ありがとう」と言葉で伝えます。

事務員さんは、「やって当然」のことをしていると思っていますが、言われたら嬉しいですし、こちらは、助かっているので言葉にして伝えるのです。
簡単なようですが、慣れてくると当たり前になり、言わなくなりがちです。

その場で言葉が伝えられないときは、カードを使います。

例えば、無理を言って、書類を出してもらったときは、「○○さんへ ありがとう! 助かりました。おかげで無事終わりました。感謝を込めて……」と、葉書の大きさのカードに、筆で相手の名前を大きく書いてデスクに置いておきます。

やりとりがひんぱんで多忙な日の帰りには、「○○さんへ 今日も一日ありがとう。いつも感謝! 明日もよろしく。」と書いて渡します。

実は、このカード。顔を見て言葉と共に渡すときもあります。

カードを書く理由は、「喜んでもらいたい」、「感謝の気持ちを伝えたい」などたくさんあります。私の仕事を助けて下さっている方々を大切にしたいのです。たまには飲みに連れて行って、ねぎらうのもいいと思いますが、日々の積み重ねに勝るものはありません。

「ありがとう」は魔法の言葉。
社内が、あなたのファンだらけになることを願っています。

(初出)月刊「FInancial Adviser」(近代セールス社発行)